旧ビッグモーターの事業を承継した「WECARS(ウィーカーズ)」が販売した中古車が、車検に適合していない状態だったとして大きな注目を集めています。
購入者である愛媛県新居浜市の男性が損害賠償を求めた訴訟で、松山地裁西条支部はWECARS側に対して約27万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
事業承継からわずか2カ月後に起きた今回のトラブルの経緯や判決内容、刑事告訴の動きから今後の注意点までをわかりやすく整理・解説します。
- 判決内容:松山地裁西条支部がWECARSに対し、約27万円の損害賠償支払いを命じる判決を下した。
- トラブル原因:購入した中古外車のマフラーが「車検不適合」であったことが納車後に判明した。
- 発生時期:WECARSが旧ビッグモーターの事業を引き継いだわずか2カ月後(2024年7月)。
- 刑事告訴:担当者らは整備記録簿への虚偽記載の疑いで書類送検されている。
“車検不適合車”を販売!WECARSへの賠償命令と事案の概要
大手中古車販売業者の事業承継後に発覚した今回のトラブルについて、裁判所が下した判断と訴訟に至る具体的な経緯を確認していきます。
納車後わずか2週間で判明した車検不適合
訴状などによりますと、愛媛県新居浜市に住む52歳の男性は、2024年7月に「WECARS西条店」にて外国産乗用車「マセラティ」を購入しました。しかし、納車から約2週間が経過した頃、該当車両のマフラーが道路運送車両法の保安基準(車検基準)に適合していないことが発覚したのです。
松山地裁西条支部による債務不履行の認定
男性はWECARSに対し、車両の修理費や慰謝料などを含めた約290万円の損害賠償を求め提訴しました。裁判において地裁西条支部は「中古車売主には車検に適合する状態の車両を引き渡す義務がある」とし、WECARS側の債務不履行を認定。2024年7月30日付で、約27万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
車検不適合の状態で公道を走行した場合、道路交通法違反(整備不良)に問われるリスクが生じます。販売側の検品体制が大きく問われる事例となりました。
なぜ起きた?旧ビッグモーター問題からの経緯と企業側の対応
過去に社会問題となった旧ビッグモーターからの事業承継直後に発生した背景と、企業側の受け止めについて整理します。
事業承継からわずか2カ月での不祥事発覚
WECARSは、保険金の不正請求や不適切な車両整備などの不祥事で信頼を失墜させた旧ビッグモーターの店舗および事業を引き継ぐ形で発足しました。しかし、今回の男性が車両を購入したのは、WECARSへ事業承継が行われたわずか2カ月後のことです。購入者の男性は「社会的な関心を集めた問題の直後にもかかわらず、現場の対応が変わっていなかった」と不満と憤りをあらわにしています。
WECARS広報室のコメント
今回の地裁判決を受け、WECARS広報室は取材に対し「判決の内容について真摯に受け止めている」と回答しています。再発防止に向けた具体的な社内ルールの刷新や整備チェック体制の強化については、今後の行動が注視されています。
時系列で見るトラブル発生から地裁判決までの流れ
事案の発生から裁判所の判決、ならびに警察による捜査の動きについて、時系列順に表でわかりやすく比較・一覧化しました。
| 時期・年月 | 発生事象・出来事の内容 |
|---|---|
| 2024年5月頃 | WECARSが旧ビッグモーターの事業を引き継ぎ発足 |
| 2024年7月 | 男性が「WECARS西条店」で外車マセラティを購入・納車 |
| 納車約2週間後 | 購入車両のマフラーが車検基準に適合していないことが判明 |
| 2025年5月 | 男性が店舗営業担当者らを整備記録簿への虚偽記載の疑いで刑事告訴 |
| (時期不明) | 警察が担当者らを松山地検西条支部へ書類送検 |
| 判決(7月30日付) | 松山地裁西条支部がWECARSに約27万円の賠償命令を言い渡す |
民事訴訟だけでは終わらない?虚偽記載を巡る刑事告訴の動き
今回の事件は損害賠償を命じる民事判決にとどまらず、担当者に対する刑事捜査の局面にも進展しています。
虚偽有印公文書作成・行使の疑いでの書類送検
男性は2025年5月、西条店の営業担当者らに対し、自動車整備記録簿に虚偽の記載を行ったとして「虚偽有印公文書作成・行使」の疑いで警察に告訴状を提出しました。その後警察は告訴を受理し、検察(松山地検西条支部)へ書類送検を行ったことが分かっています。
中古車売買において「整備記録簿」は、車両の状態を裏付ける最も重要な書類の一つです。ここに不実の記載がなされていた場合、中古車業界全体の信用問題へ波及する可能性があります。
中古車購入時にトラブルを防ぐために読者が気をつけるべきポイント
同様の中古車トラブルに巻き込まれないために、契約時および納車時に消費者が確認すべき自衛策を整理しました。
1. 納車時の第三者機関によるチェック検討
特にカスタムパーツ(マフラーや車高調など)が装備されている車両や輸入車を購入する場合は、納車直後に信頼できる第三者の整備工場やディーラーで車検適合状況の点検を受けることが有効です。
2. 異常発覚時の迅速な記録と協議
納車後に不具合や保安基準違反が判明した場合は、速やかに症状や指摘事項を文章・写真で記録し、販売店へ連絡を入れてください。改善がみられない場合は消費生活センターや弁護士などの専門機関に相談することが推奨されます。
よくある質問(FAQ)
今回の事件や判決に関して、多くの方が疑問に感じる点をFAQ形式で解説します。
原告側は約290万円の損害賠償を求めていましたが、松山地裁西条支部は車検適合車を引き渡す義務(債務不履行)を認定し、約27万円の支払いを言い渡しました。
ただし、納車段階でマフラーが道路運送車両法の保安基準を満たしていなかった事実が裁判で認定されています。
虚偽有印公文書作成・行使の疑いで書類送検されていますが、今後起訴されるかどうかについては現時点で判明していません。
売主には安全かつ法令基準に適合した車両を引き渡す契約上の義務が存在します。改善に応じない場合は、弁護士や消費生活センター等の窓口に相談することが大切です。
まとめ
- WECARS西条店で購入された外車マセラティが車検不適合だったとして、地裁が約27万円の賠償命令を出した。
- トラブルは旧ビッグモーターからの事業承継からわずか2カ月後の2024年7月に発生していた。
- 整備記録簿への虚偽記載の疑いで営業担当者らが書類送検される刑事捜査も進んでいる。
- WECARS側は「判決の内容について真摯に受け止めている」とコメントを発表している。
中古車の購入は、多くの人々にとって暮らしや移動を支える大きな買い物であり、そこには『安全に乗ることができる』という当然の信頼が存在しています。
過去の不祥事を経て新体制へと歩み出した企業だからこそ、現場の一台一台に対する徹底した点検と高いコンプライアンス意識が強く求められていたはずです。
今回の判決や捜査の動向を機に、企業全体で実効性のある再発防止策が徹底され、ユーザーが真に安心して利用できる中古車流通環境が整うことが期待されます。
