しかも今回明らかになった事例では、「私はロボットではありません」の認証画面を装った偽サイト、警察官のビデオ通話、そしてQRコードを使った送金要求など、誰でも騙されかねない巧妙な手口が使われています。 この記事では、最新の実例をもとに「どこが危険なのか」「どこから詐欺が始まるのか」「どうすれば防げるのか」を詳細に解説します。
警察官なりすまし詐欺とは何か:最新の被害状況
今年の特殊詐欺の被害額はすでに約482億円。過去最悪ペースで推移しています。その中でも最も増加しているのが、警察官や金融庁、自治体職員になりすます手口です。
今回FNNの記者に実際にかかってきた電話も、“クレジットカード管理会社のシミズ”と名乗る人物から始まり、「未払いがある」「このままではブラックリスト入りします」と不安を煽る典型的な流れでした。
そして記者が「身に覚えがない」と言うと、相手はすぐに「福岡県警に相談を」と警察官へ“転送”。最初から役者が揃っている詐欺グループの常套手段です。
ステップ① 偽カード会社──不安を煽って警察につなぐ
・クレジットカードの未払いを指摘
・「ブラックリストに載る」「ローンに影響」など不安を煽る
・被害届を口実に偽警察官へ誘導
このステップの目的は「被害者を混乱させ、正常な判断力を奪うこと」。
詐欺師が演じる“カード会社スタッフ”は、落ち着いた声で専門用語を使い、信頼できる企業の雰囲気を装います。そして「あなたのためです」と親切そうに、偽警察官との通話へ誘導します。
ステップ② 偽警察官──“刑事事件”をちらつかせ個人情報を要求
次に登場するのが警察官を名乗る男。「福岡県警捜査二課のイノウエ」と権威ある肩書を出し、記者に対し「これは個人情報漏洩に関する刑事事件」と説明しました。
ここでの狙いは「あなたは被害者ではなく、関係者かもしれない」と不安を最大化すること。さらに続けて…
- 誰にも言わないように(口止め)
- SNSや家族の連絡を遮断させる
- ビデオ通話に誘導し、本人確認と称して免許証やマイナンバーカードを要求
こうした誘導は、詐欺師が情報を盗むための常套手段です。
ステップ③ ビデオ通話で“顔出し”──巧妙な演技で信頼させる
今回の記者が遭遇した詐欺では、ビデオ通話に切り替わった瞬間、若い男が映り込みました。制服には「警視庁」の文字。しかし、直前まで話していたのは「福岡県警」。ここに大きな矛盾があります。
ビデオ通話を利用する理由は明確です。
・顔を見せることで信頼度を上げる
・免許証やマイナンバーなどをその場で撮影させる
記者が「関西テレビの記者です」と名乗ると相手は動揺し、すぐにビデオ通話を切断。詐欺師側も記者であることに気づいた瞬間、リスクを察知したとみられます。
新たに増加する“QRコード送金詐欺”とは
最近急増しているのが「勝手に送金QRコード詐欺」。宅配業者や金融機関を装い、
- 支払い方法の変更
- 未払いの解消
- アカウント確認
などを口実にQRコードを送りつけ、その読み込みを促す手法です。
QRコードを読み取るだけで不正送金を許可してしまうケースもあり、「スマホでかざすだけ」という手軽さが逆に大きなリスクとなっています。
「私はロボットではありません」認証を悪用する偽サイト
さらに巧妙なのが、セキュリティ対策として普及している“私はロボットではありません”の認証画面をそっくり模倣した偽サイトです。
本物と見分けがつきにくいため、そこにカード情報を入力してしまうと、すべて詐欺師に抜き取られる仕掛けになっています。
この画面を信じてしまう背景には、「認証=安全」という思い込みがあります。しかし詐欺師は、その思い込みを逆手に取ります。
被害を防ぐための3つの鉄則
→ 電話・SMSで「身分証を送れ」と言われたら100%詐欺。
→ 相手が言う番号にはかけず、公式サイトの番号を確認すること。
→ 荷物不在通知・金融機関からの通知は特に注意。
まとめ:巧妙化する詐欺にどう向き合うべきか
最も重要なのは、不安を煽る連絡に即反応しないこと。一度落ち着いて公式窓口へ確認すれば、多くの詐欺はその段階で防げます。 あなたの周りにも、スマホ操作に慣れていない高齢者がいる場合は特に注意喚起を。巧妙化する詐欺に対抗するには、最新の手口を知り、予防するしかありません。
A. 基本的にありません。免許証提示を求めるのも詐欺の特徴です。
Q. “ブラックリスト”と言われたら本当に危険?
A. カード会社が電話でブラックリストを通知することはありません。
Q. QRコードを読み取るだけで送金される?
A. 認証設定次第では可能です。見知らぬQRは絶対に読み取らないでください。

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