- 2025年の緑茶類輸出額が前年比2倍の721億円を突破
- 世界的な「ウェルネス志向」とSNSでの拡散がブームを牽引
- 原料「てん茶」の生産量は10年で2.7倍になるも供給が追いつかない
- 中国産や韓国産の台頭により、日本産ブランドの競争力が試されている
1. 概要:世界を席巻する「抹茶バブル」の衝撃
2025年から2026年にかけて、日本の茶業界は歴史的な転換期を迎えています。財務省の貿易統計や業界紙の報道によると、2025年の緑茶輸出額は約721億円を記録。前年の約360億円規模からわずか1年で倍増するという、まさに「抹茶バブル」と呼ぶに相応しい状況です。この輸出増の主役は、家庭で飲まれるリーフ茶(茶葉)ではなく、飲料やスイーツの原料となる粉末状の「抹茶」です。
2. 発生の背景・原因:なぜ世界中で熱狂が起きているのか
このブームを支える最大の要因は、世界的な「ウェルネス(健康)志向」の高まりです。抹茶に含まれるカテキンやテアニンといった成分が健康やメンタルケアに寄与すると認知され、特にアメリカやイギリス、韓国などでコーヒーに代わる「ヘルシーなエネルギー源」として定着しました。また、SNSでの「抹茶グリーン」の視覚的魅力も無視できません。Z世代を中心に、色鮮やかな抹茶ラテやスイーツがInstagramやTikTokで拡散されたことが、ブームを爆発させる着火剤となりました。
3. 関係者の動向・コメント:悲喜こもごもの生産現場と飲食店
輸出に関わる商社や大規模農家は、この活況を好意的に受け止めています。一方、国内のカフェ経営者や和菓子メーカーからは悲鳴が上がっています。「仕入れ価格が1.5倍から2倍に跳ね上がり、メニューの価格維持が限界」という声が相次いでいます。フードジャーナリストの分析によれば、日本の外食大手の中には、安定した調達を優先するために、日本産よりも安価な中国産や韓国産の抹茶粉を補完的に導入する動きも出始めています。
4. 被害状況や金額・人数:高騰する仕入れ価格と家計への影響
具体的な数字を見ると、抹茶の原料となる「てん茶」の生産量は、この10年間で約2.7倍に増加しました。しかし、それを上回るスピードで海外需要が拡大しているため、市場価格は高騰の一途を辿っています。一般消費者向けの粉末抹茶や、コンビニで販売される緑茶飲料についても、原材料費や物流費の上昇を理由とした数円から数十円単位の値上げが常態化しており、家計への負担がじわじわと増しています。
5. 行政・警察・企業の対応:日本ブランドを守るための施策
日本政府は農林水産物の輸出拡大を国策として推進しており、2031年までにさらなる輸出額目標を掲げています。具体的には、海外で需要が高い「有機JAS認証」の取得支援や、スマート農業を導入した大規模生産体制の構築を急いでいます。しかし、茶の木が成木になり収穫が安定するまでには数年を要するため、急増する需要に対して即効性のある供給策を打ち出せていないのが現状です。
6. 専門家の見解や分析:日本産抹茶のブランド力と競合国
フードジャーナリスト等の専門家は、「抹茶バブル」は単なる一過性の流行ではなく、世界の食文化の一部として定着しつつあると分析しています。一方で懸念されるのが、中国貴州省などの台頭です。中国は「中国抹茶の都」を掲げ、圧倒的な生産量で世界市場を狙っています。日本産が「高品質・高単価」のブランドを守り抜くためには、単なる味だけでなく、ストーリー性や伝統文化としての付加価値をどう伝えるかが鍵となります。
7. SNS・世間の反応:高まる期待と届かない不満
SNS上では、「海外のカフェで飲む抹茶ラテが一杯1,000円を超えていて驚いた」という海外旅行者の投稿や、「お気に入りの抹茶スイーツが値上げされて悲しい」という国内ユーザーの投稿が目立ちます。世界中で日本茶が評価されることを誇らしく思う声がある一方で、日本人が手軽に高品質な抹茶を楽しめなくなることへの懸念が広がっています。
8. 今後の見通し・影響:2030年に向けた市場の成長
世界の抹茶市場は、2030年に向けて年率約7%のペースで成長し続けると予測されています。日本国内では供給体制の改善が急務となりますが、当面の間は「輸出優先」の状況が続くと見られ、国内向けの価格高騰は避けられない見通しです。また、今後は「日本産100%」を謳う高級路線と、安価な海外産を混ぜた普及路線の二極化がさらに進むと考えられます。
9. FAQ(よくある質問)
Q:なぜ最近、抹茶のスイーツや飲料が値上がりしているのですか?
A:世界的な抹茶需要の急増により、原料となる茶葉(てん茶)の輸出価格が高騰しているためです。国内供給が不足し、仕入れ価格が上昇していることが主な原因です。
Q:海外産の抹茶と日本産の抹茶に違いはあるのですか?
A:一般的に日本産は伝統的な製法による旨味と香りの高さが特徴です。一方、海外産(特に中国産など)は価格競争力に優れており、加工用として広く普及し始めています。
Q:この抹茶バブルはいつまで続きますか?
A:健康志向の定着により、2030年頃までは市場規模の拡大が続くと予測されています。生産体制が整うまでは高値圏での推移が続く可能性があります。