概要(何が起きたか)
広島県内で、実在する高校の同窓会を話題に利用する特殊詐欺が急増しています。県警が確認しただけで2025年8月から10月の3か月間に11件、被害総額は約4000万円に達しました。
犯行グループは「同窓会の案内届いてる?」と自然な切り口で電話を開始し、被害者に息子本人だと信じ込ませる手口を使用します。その後、株取引の成功話や脱税の追徴金などの名目で金銭を要求し、最後には「法律事務所の友人」に渡すよう指示して現金を回収するという極めて巧妙な方法です。
発生の背景・原因
背景には、闇名簿業者によって流通する個人情報の存在があります。今回悪用されたのは、高校の卒業生名簿や企業の退職者リスト、百貨店の高額購入者情報など、詳細な個人データです。
詐欺グループは被害者の息子が通っていた高校名を把握しており、「〇〇高校の同窓会の話なんだけど」と切り出すことで、被害者に「本人に間違いない」と強く錯覚させます。名簿の入手先は不明ですが、警察は複数の名簿が流出している可能性を指摘しています。個人情報が外部で売買される環境が整ってしまっていることが、今回の詐欺拡大の大きな要因です。
関係者の動向・コメント
県警生活安全総務課は「高校名を使った詐欺はこれまでにない巧妙さ。事前に名簿を入手しているため、被害者は信じやすい」と危機感を示しています。
複数の高校関係者も「卒業生名簿の扱いは厳重に管理しているが、卒業生の手元にある名簿がどこかで複製されて流通した可能性もある」と懸念を語っています。また、地域の自治体も「同窓会の話題で連絡すると言われたら、必ず本人に直接確認を」と注意喚起を強化しています。
被害状況や金額・人数
広島県内で確認された被害は11件、約4000万円に達します。個別の被害額は300万円から700万円超まで幅があり、いずれも高齢女性を中心とした被害が続いています。
典型的なケースでは、「株でもうかったから預かってほしい」と要求され、さらに「脱税して追徴金が必要」と偽の証券会社担当者から連絡が入ります。その後、「必要金額の3割だけ用意して」と具体的な数字を提示され、法律事務所の関係者を名乗る人物が現金を受け取りに来る流れが多く確認されています。
行政・警察・企業の対応
県警は広島市や福山市の主要エリアで啓発チラシを配布し、自治体と連携した注意喚起を実施しています。また、高齢者が多く利用する銀行や郵便局にも、詐欺防止の声掛け強化を要請。
金融機関では「同窓会に関する電話の後に大金を引き出そうとする高齢者」がいた場合、職員が積極的に確認する体制を整えています。さらに、地域の同窓会組織にも注意喚起を依頼し、名簿管理の強化と情報流出防止を呼びかけています。
専門家の見解や分析
犯罪心理の専門家は「今回の詐欺は“事前情報を握っている”ことが最大の武器。被害者は『自分しか知らないはずの情報を知っている=本人だ』と錯覚してしまう」と指摘します。
また、情報セキュリティの専門家は「名簿の管理は企業・学校だけでなく個人レベルでも重要。古い同窓会名簿を不用意に保管しているケースも多く、それがコピーされて悪用されることもある」と警鐘を鳴らしています。
SNS・世間の反応
SNSでは「同窓会を悪用するなんて悪質」「親世代に必ず教えておかないと危ない」「名簿がどこまで流出しているのか怖い」といった声が多く寄せられています。
また、「うちの親にも“息子の同窓会の話”があったらすぐ確認するよう伝える」という投稿も多く、家庭内での対策意識が高まっています。一方で「名簿を完全に管理するのは難しい」「個人情報が出回りすぎている」といった社会全体の課題を指摘する意見も目立ちます。
今後の見通し・影響
今回の「同窓会 詐欺 広島」は、他県にも広がる可能性があります。名簿を悪用した手口は再現性が高く、今後は大学や企業のOB会などへ広がる恐れも指摘されています。
警察は今後も注意喚起を強化する方針で、高齢者が電話で金銭を求められた場合は必ず身内に確認する習慣づけが重要です。また、卒業生名簿の管理体制や個人情報の流通経路についての調査が進む可能性もあり、社会全体で向き合うべき問題といえます。
FAQ
Q. 同窓会を話題にする詐欺は本当に増えている?
A. はい。広島では2025年夏以降だけで11件の被害が確認され、急増傾向にあります。
Q. 息子を装う電話を見破る方法は?
A. 一度電話を切り、普段使っている本人の番号に自分でかけ直すことが最も効果的です。
Q. 名簿が悪用されるのを防ぐ方法は?
A. 古い名簿を自宅で保管しない、外部にコピーを渡さない、個人情報の取り扱いを徹底することが重要です。
まとめ
「同窓会 詐欺 広島」は、実在の高校名と名簿を悪用する極めて巧妙な詐欺です。自然な会話で信用させるため、高齢者がだまされやすく、被害は今後さらに広がる可能性があります。
防止策としては、電話で金銭の話が出た場合は必ず家族へ連絡し、名簿の管理を徹底することが何よりも重要です。地域全体で意識を高めることで、被害を未然に防ぐことができます。

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