職場のチョコパイ窃盗で逆転無罪　韓国地裁が判決

1. 事件の概要（何が起きたのか）

2024年1月18日未明、韓国の全羅北道完州郡にある物流会社の警備員（当時41歳）が、事務室の冷蔵庫にあったチョコパイ1個（450ウォン）とカスタード1個（600ウォン）を食べたことが発端です。

これを防犯カメラが捉えており、物流会社の所長が「許可なく持ち出した」として警察に通報。検察は略式起訴で罰金50万ウォンを求刑し、一審裁判所は罰金5万ウォンの有罪判決を下しました。男性は有罪確定なら現在の職場も失う可能性があり、正式裁判を請求して争う姿勢を見せました。

2. 発生の背景・原因

問題の冷蔵庫は、夜間・早朝に出勤する配送運転手たちのために置かれたおやつが常備されており、「自由に食べて良い」という暗黙のルールが存在していました。警備員の男性も運転手から「食べていいよ」と言われていたと主張。

しかし物流会社の所長は「運転手にそんな権限はない」として厳しく追及。わずか1050ウォンのおやつをめぐり、刑事事件にまで発展したのです。

3. 関係者の動向・コメント

被告の男性は一貫して「運転手から許可されていた」「盗むつもりはなかった」と無罪を主張。同僚39人が「自分たちも同じように食べていた」と陳述書を提出し、裁判で証言した配送運転手も「自由に食べていた」と証言しました。

検察は異例の対応として、控訴審で「宣告猶予」（有罪だが宣告しない）を求める方針に転換。市民参加部（市民委員会）でも12人中ほとんどの市民が「処罰は不当」と判断したことが影響しました。

4. 被害状況・金額

被害額は実質1,050ウォン（約112円）。しかし男性は一審有罪により罰金5万ウォン＋解雇の危機という、金額に比して極めて重い不利益を被る寸前でした。

5. 司法・検察の対応

一審では「権限のない者の許可では正当化されない」として有罪判決。しかし二審の全州地裁は「被告の立場では権限があると信じる合理的な理由があった」「犯罪の故意を認めるのは困難」として逆転無罪を宣告。韓国司法史上でも極めて珍しい「112円おやつ事件」の大逆転となりました。

6. 専門家の見解・分析

韓国の刑法学者は「占有離脱物横領罪や窃盗罪の成立には『権利者意思に反して』という要件が必要。職場に置かれた共有おやつは実務上『離脱物』扱いされるケースが多い」と解説。今回の判決は「形式論より実質的な常識を優先した画期的な判断」と評価されています。

7. SNS・世間の反応

一審判決当時は「1050ウォンで刑事裁判って頭おかしい」「韓国の司法は終わってる」と大炎上。しかし二審無罪が報じられると「常識が勝った！」「やっと正義が戻ってきた」「これで安心して職場の冷蔵庫開けられる（笑）」と歓喜の声が殺到。日本のSNSでも「うちの会社も気をつけなきゃ」「韓国の判事GJ」と話題になりました。

8. 今後の見通し・影響

この判決は「職場の共有おやつ・飲み物に関する暗黙のルール」を司法が初めて明確に認めた事例として、今後の類似事件に大きな影響を与えると予想されます。企業側も「冷蔵庫のおやつは誰でもOK」と明文化する動きが加速しそうです。